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世にも恐ろしい「脚気」に苦しんだ江戸の人々を救った“ある野菜”

有名中学入試問題で発見する「江戸時代の日本」⑥お茶の水女子大学附属中学校

■大根が江戸患いの特効薬に

 

〈そもそも、江戸っ子は「だいこん」とは言わない〉

 のっけから「え~!?」と思われかるかもしれませんが、事実です。

 じゃあ何て言ってたのかというと、「だいこ、でぇこ、でーこ(でへこ)」です。

 現代の私たちが「だいこん」と言ってるのを聞いたら、「野暮だ」と笑うか、上方の人間だと思うでしょう。(上方は「だいこん」と言っていた)

 東海道中膝栗毛や他の文献などを見ても一般的には「だいこ」が多かったようですが、大根売りは必ず「だいこ、でーこ」の二声セットで売り声としていました。

〈大根は“ある病”によく効きます〉

 もちろん大根だけの効果で治るわけではありません。

 他にも色々な食べ物の栄養や成分との融合の結果「治る」のです。

 しかし、特に当時のように現在のような医薬品がまだ無い状況においては、その薬効は明らかだったようです。

 ではその「ある病」とはいったい何でしょう?

 答えは「江戸患(わずら)い」です。

 何のこっちゃ? と思うかもしれませんが、「脚気(かっけ)」のことです。

 なぜ大根が脚気に効くのか気になるところですよね。

 それには脚気がどういう病なのか知ったほうがわかりやすいと思いますので、説明したいと思います。

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瀧島 有

たきしま あり

江戸文化歴史研究家

江戸文化歴史研究家。学校や教科書が教えない、江戸の町の武家・庶民の真実の姿、風俗や文化、食べ物などを研究する傍ら、江戸文化勉強会「平成江戸幕府」を主宰。フェリス女学院大学、内閣府クールジャパン・アドバイザリーボード・メンバーなどを経て、法政大学文学部史学科に在学中。著書に『あり先生の名門中学入試問題から読み解く江戸時代』など。


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  • 2015.11.01